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北海道の夜行列車で出会った二人、3年後の今

By admin Feb 04, 2026 1 min read
北海道の夜行列車で出会った二人、3年後の今

夜行列車の窓は、ゆっくり進む映画館のスクリーンのような場所。二〇二三年の春、札幌発青森行きの夜行で隣り合わせた二人の、三年後の話。

夜行列車の窓は、ゆっくり進む映画館のスクリーンのようなものです。外の景色はゆっくり流れ、車内では誰も急いでいない。二〇二三年四月二十一日、札幌駅から青森へ向かう夜行(現在は廃止された最後の週末運行便)で、隣の席に座ったミツキとケンタ。三年後の今、二人は東京と福岡の二拠点で暮らしています。偶然から続く関係の具体例として、本人たちに聞いた話をまとめました。

最初の三時間

札幌から出発した列車が室蘭を過ぎる頃、車内販売のカートが通りました。ケンタは缶ビールを二本、ミツキはほうじ茶を注文。「二本?」とミツキが聞いたのが最初の会話だったそうです。

「本当はもう一本あげてもいいやって思ってたけど、口に出せなかった」とケンタ。結局、函館に入るあたりで、缶ビールの一本を差し出すところから交換が始まりました。

夜行列車特有の会話

最初の連絡先交換

青森駅に着く三十分前、ミツキが携帯の充電器をケンタに貸しました。「返す時にLINE交換したんです。普通の流れすぎて、違和感が逆になかった」。その場で「また東京で会いましょう」とは言わず、数日後にミツキから「無事に帰れましたか」と一通目が届いたそうです。

駅のホームで別れる時、約束をしなかったのが良かった。無理に次を決めずに、数日置いてから連絡することで、お互い「相手がまだそこにいる」という確認ができた。

一ヶ月目:会うまでのやりとり

ケンタは当時、東京勤務の編集者。ミツキは福岡のリモートワーカー。物理的に会うハードルは高く、最初の一ヶ月はメッセージの往復だけでした。

意図的にビデオ通話もすぐにはせず、テキストだけで生活のリズムを共有。「今日は大名のカフェ」「今、山手線止まってる」といった日常の小さな報告。旅の偶然を、生活の地続きに変えていく作業です。

半年目:福岡で初めて二人で過ごす

最初の再会は、二〇二三年十月、ケンタが福岡出張のついでに二日延泊する形で実現しました。薬院のカフェ、大名の居酒屋、糸島への日帰り。ミツキは「最初に会った時が夜だったから、明るい福岡でちゃんと顔を見たかった」。

この旅で二人が決めたのは、月一回、交互に東京と福岡を行き来すること。飛行機で往復三万円前後、月の予算として合意しました。

一年目:距離の設計

遠距離は普通、苦しさで壊れます。二人が壊れなかった理由の一つは、最初から「遠距離」を前提に設計したことです。

二年目:同棲未満、恋人以上

二〇二四年の夏、ケンタは転職して福岡の出版社にも関わるようになり、月の半分を福岡で過ごせるように調整。ミツキは東京の実家に月一回帰るついでに、ケンタの家に数日滞在。「同棲ではないけれど、住所が二つある暮らしに近づいた」。

三年目の現在

二〇二六年四月、二人はまだ東京と福岡を行き来しています。結婚の話も出ていますが、急いでいません。「急いで結論を出すと、最初の夜行列車の時のゆっくりした感じが壊れる気がする」とミツキ。

彼らが守っていること

この話が教えてくれること

偶然は演出できません。でも、偶然をその後どう扱うかは選べます。二人は、出会った場所の「ゆっくりさ」を、関係のスピードに写し替えました。急がず、でも途切れさせず。

次に電車や飛行機で隣に座った相手と、少しだけ長く話してみる。その小さな選択が、三年後の自分を別の場所に連れていくかもしれません。

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